「人生の旅をゆく」よしもとばなな

そういうわけで、文庫本、買ったよ。

盛り上がった「ばなな居酒屋事変」の件は、「すいか」というタイトルで129ページから。活字中毒Rで概ね紹介されてるし、あちこちで少しずつ書かれてるから、だいたい内容は、その通りなんだけど。

まあ、縦書きの明朝体の文章で読むと、少し印象は違うかな。

誰が悪いとか、社会がどうとか、ビジネスはかくあるべきとか、そういう話ぢゃないんだよね。

ただの読み物、それだけ。

なるほどなっ、と頷くとか、深いぜっ、とかいう話ちゃなくて、軽い読み物。読んで、どうこうとか感想があるわけでもない、なんつか、軽いの、とにかく。

今回の件で、なんとなくばななタンの思考が鼻についた、っていう人は、たぶんそのままの感想になると思う。とにかく、自分中心の世界が、そこにはぐるぐる音を立てて回ってて、自分と仲間には「いろいろな事情があるもの」なんだけど、自分以外の敵には事情なんて無いし興味も無いの。我が儘が服を着て、大名行列よろしく練り歩いているって感じ。

なんていうか、おばちゃんの茶飲み話みたいな内容。

「あなた、知ってる?○○の□□ってドコソコで売ってないのよ」
「そうそう。私もこないだ置いてるかしら、って聞いたんだけど、扱ってないって言うのよ」
「なんでも、△△が××なので、売れないらしいんだけど、そんなの知らないわよねえ」
「ほんと、なんだって売らないのかしら。融通が利かないにもホドがあるわよねえ」
「まったく嫌ンなっちゃうわ」

ってな会話が有ったとして、それを適当にお話にして、最後に「これが、ようするに■■でおこってることの縮図である」「いいときの日本を知らないんだなあ」と纏めてるような印象すら受けました。

ところで、ばななタンの世界観というか、「東京」や「役所」っていうのは「わるもの」の呼称なんですね。気に入らないものを「役所」呼ばわりするのは、なんかカワイイ。

「いいときの日本」みたいな感覚(具体的にはなんだか分からない)は、なんとなく理解するし、それを知っているような気もするけれど、ミソもクソも一緒にしちゃってる感(みんなはアタシに気を使って当然。みんなの事情?そんなの知らないわ、興味も無いし)も否めないので、なんか賛同しにくいというか。

あー、とにかく、ところどころ気持ち悪いんだけど、なんとなく分からなくもないよという読み物だと思う。