引用元の明示は blockquote の cite や title 属性だけでは不十分なのか

何周目だよ、という意見はさておき。

いったい、僕たちは、Webに公開するリソースとして、ナニを作っているのだろうか、という話で。最終的には、まあ、人間が理解するための(例えば「読む」とか「見る」とか「聞く」とかして)文書を作ってるという解釈は成立するんだけど。この「文書」のデータ形式というトコロで話を書いてみようと思う。

ここで争点となるのは、というか扱うのは、cite 属性や title 属性にしか引用元の表記が無い、闇黒式引用を行った場合に、引用を満たす要件のうち、地の文との区別、出典の明示についてで、特に出典の明示(引用元の表記)について、それが明示か否か、どう解釈するかという話です。

ところで、世の中には、なんでもかんでも、MS Word や EXCEL で、文書を配布するのが好きな人がいます。そんなん Plaintext でいいやん、と思うモノまで、EXCEL で届けてくれたり。(誰でも、Word や EXCEL がインストールされてると思ってんだろうけど)

で、一般的に .doc や .xls のファイルを、どう扱うかなんだけど。まあ、MS Word や EXCEL を起動して、利用するよね。サードパーティーなんかのビューワーで開くかもしれない。いずれにしろ、Word や EXCELデータ形式をきちんと解釈してくれるアプリケーションを利用することを期待してるわけだ。

で、そのビューワーとかで開いた場合、レイアウトがくずれてたり(まあ、もっとも Word や EXCEL はハゲシク環境依存なので、作者の思惑通りのレイアウトで利用者が見ることを期待するのはナニなんだけど)、文章が欠落していたりしても、そりゃビューワーが悪いよ、という話になるんぢゃないかと。

つまり、そういうことで。

HTML の規格に従った文書(データ)を作って公開してるということは、その規格に従って解釈出来るビューワーを使えよということで、解釈出来ないビューワーの挙動なんて、知った事ではないわけだ。

cite 属性や title 属性に書かれた引用元を明示出来ないような UA を使うのは自由だが、それで、文句を言われてもという話。

文書を公開している者は、ナニを公開してるのかというと、規格に従いマーク付けされた文書であり、それ以上ではないということで、その文書をどう利用するかは利用者の自由であり、どう視覚整形されようが、音声化されようが、制作者の知った事ではないわけで。

あー、要するに、cite 属性や title 属性に引用元を表記していれば、データ的には「合法」(引用としての要件を満たしている)という判断は成り立つんぢゃないかと思うのです。

ここまでは、HTML の話。

で、そのマーク付けされた文書を、どう視覚整形あるいは音声化するかという話なんだけど。

所謂、闇黒式引用で、cite 属性や title 属性にしか引用元の表記が無い場合に、FirefoxOperaWebkit のデフォスタイルシートは、法的に引用の要件を満たしているのか、という話になるんぢゃないかと。

某かの操作を行った際には引用元が表示される(例えば、コンテクストメニューから、プロパティを見る)という手法は、「明示」されていると言えるのかどうか。もし、これが法的には認められないということになれば、なんらかの手は打たねばならないでしょう。

公共性を考えれば、FirefoxOperaWebkit は、デフォスタイルシートにおいて、blockquote の cite 属性や title 属性を視覚的に、或いは音声化して「明示」するようにしなくてはならないし、私的には、もし、制作者スタイルシートを提供している場合には、視覚的、或いは音声化して、某かの操作を経由することなく、表示するようなスタイルシートを提供しなくてはならないだろうと。

ということで、HTML データとしては、合法でも、CSS データは違法という判断も有り得るかな。

やらしいのは、HTML や XHTML は、文書型宣言で、その規格を明らかにしているので、その規格を解釈出来ない UA で閲覧した際に起こる事象に付いて考慮しなくても、なんら問題が無いとも言えるけれど、CSS については、バージョンの明確な宣言がないので、疑似要素とかを理解しない UA で利用した場合に、引用元の明示が無いと判断され、その CSS は違法だよ、となる可能性は否定出来ないかも。

文書先頭に、UA を指定しとくという逃げを打つか。この文書は、Firefox v3.5 で閲覧されることを推奨します。それ以外の場合、制作者の意図に従った正常な描画を保証いたしません、とか。

もっとも、それ以前に、裁判官が HTML と CSS を別々に考え、判断してくれるとか、IE がその HTML 文書(データ)を閲覧するのに適していない UA であると判断してくれるとか、そんなことはなさそうな気がしないでもないので云々。